「亜鉛って精力に関係あるの?なんか聞いたことはあるけど、正直よく分からなくて」——私も最初、そう思ってた。牡蠣が体にいいとか、亜鉛が大事とか、なんとなく聞く言葉だけど、根拠がどこにあるのかを確認したことがなかった。(ランキング記事には「亜鉛が効く!」と書いてあるけど、なんで効くのかが書いてない)

だから論文を探して読んでみた。そうしたら、亜鉛とテストステロンの関係について、かなり具体的なデータが出てきたんです。

亜鉛が不足するとテストステロンが下がる、という研究

アメリカの栄養学誌に掲載された1996年の研究が、この関係を正面から調べています。実験を2つ組み合わせた構成になっていて——それぞれ違う角度から、亜鉛とテストステロンの関係を見ています。

まず1つ目は、亜鉛が不足している高齢男性(平均63〜65歳)に6ヶ月間亜鉛を補給して追跡したもの。結果として、テストステロン値が有意に上昇したと報告されています。

「不足を補ったから回復した」——そう読める結果です。

2つ目はもっと直接的な実験で、健康な若い男性(平均22歳)に意図的に亜鉛を制限した食事をとらせる試験。20週間後、テストステロン値が約73%も低下したと報告されています。

73%。半分どころじゃない低下が、食事の亜鉛を制限するだけで起きた。(これを読んだとき、正直ぞっとした)

なぜ亜鉛がテストステロンに関係するのか

仕組みの話も少し整理しておくと、亜鉛はテストステロンの合成過程に関わる酵素の補因子として機能します。精巣でのテストステロン産生、そして精子の生成にも使われる。「足りないと作れなくなる」素材のひとつ、というイメージが一番近いかもしれません。

ここで一度立ち止まって——彼の食事、亜鉛が入っているものってどれくらいありますか?牡蠣・赤身肉・レバー・ナッツ類……意識しないと案外少ない、という方も多いんですよね。

この研究が言っていること・言っていないこと

この研究が示しているのは「亜鉛が不足しているときに補うとテストステロンが回復する可能性がある」ということ。大事なのは、もう一つの事実も論文が明記していること——「すでに亜鉛が十分な人が追加で摂っても、劇的な変化は期待しにくい」という点です。

不足を補う話と、すでに十分な状態でさらに上乗せする話は、意味が違う。そこを混同した状態で「亜鉛を飲めばテストステロンが上がる」と読むのは、この研究の正確な読み方ではありません。

精子形成への影響:別の試験が示したこと

2017年にアジア男性医学誌に掲載されたRCTでは、性腺機能低下症の男性を対象に亜鉛補充を18ヶ月にわたって追跡しています。精子形成への影響を検証した試験で、亜鉛補充が精子生成の促進に有効かどうかを見たもの。テストステロンだけでなく、生殖機能全体への関与が研究レベルで確認されています。

亜鉛が「精力に関係する」という話の背景には、テストステロン合成と精子形成という2つの経路があって——どちらも亜鉛の不足で影響を受ける可能性がある。そのことが、複数の研究から見えてきます。

「足りているか」を考えるところから始まる

73%のテストステロン低下というデータを見てから、私は彼の食事を少し意識するようになりました。毎日牡蠣は無理だとしても、赤身肉を選ぶとか、間食をナッツにするとか——そういう積み重ねが「不足しない状態を作る」につながるんだと思って。

「亜鉛を摂れば元気になる」ではなくて、「亜鉛が不足している状態を放置しない」という考え方。彼の食事から亜鉛が足りているかどうかを、一度考えてみませんでしたか。ランキングで製品を選ぶより先に、そこが気になる出発点になるかもしれないです。