成分表を見ていたら「L-アルギニン」と書いてある製品と「アルギニン」とだけ書いてある製品があって、「これ何が違うんだろう」と思いました。調べてみたら、アミノ酸の化学構造の話が出てきて——(最初は「難しいな」と思ったけど、整理すると思ってたより単純だった)
「L」がついているかどうか。これは精力剤を選ぶときに知っておくと判断の助けになります。
アミノ酸の「L型」とは何か
アミノ酸には「鏡像異性体」という概念があります。同じ化学式でも、分子の空間的な向きが左右逆になっている2種類が存在します。
- L型:自然界のタンパク質を構成している形。人間の体で使われる
- D型:鏡に映した形。体内では基本的に利用されない
「L-アルギニン」の「L」は、この「生体で使われるL型」であることを示しています。精力剤・サプリメントに使われるアルギニンはすべてL型です。
「L-アルギニン」と「アルギニン」の表示の違い
製品表示では「L-アルギニン」と記載する場合と、単に「アルギニン」と記載する場合があります。
食品衛生法の表示基準では、L型であることが自明のアミノ酸は「L-」を省略して表示できる場合があります。「アルギニン」とだけ書いてある製品も、実際にはL-アルギニンを使用していることがほとんどです。
気になる場合はメーカーに確認するのが確実ですが、国内の正規品であれば「アルギニン」表示でもL型と考えて問題ありません。
なぜ研究では6g/日という高用量が使われるのか
アルギニンの研究を調べると、「6g/日」という数値がよく出てきます。(私も最初「そんなに多いの?」と思った)
理由は吸収効率にあります。アルギニンは経口摂取すると腸管と肝臓で一部が分解されてしまい、実際に血中に届く量が少なくなります。この「初回通過効果」を超えて、血管内皮でNO(一酸化窒素)産生に使われる量を確保するために、高用量が設定されています。
内分泌学研究誌に掲載された多施設RCT(2022年)では、L-アルギニン6g/日の摂取で血管性EDに改善が確認されています。一般的な精力剤の1回分(数百mg)より桁が違うレベルです。
食品中のアルギニン量との比較
アルギニンは鶏胸肉・ゼラチン・大豆製品などに含まれています。ただし食品から1日6gを摂ろうとすると、鶏胸肉換算で数百グラム以上を毎日食べ続ける計算になります。
サプリメントで補う場合でも、食品からの摂取と合わせた総量で考えることが大切です。
シトルリンとの関係
アルギニンの吸収効率を補う成分として研究されているのがシトルリンです。シトルリンは体内でアルギニンに変換されますが、肝臓での分解を受けにくいため、血中アルギニン濃度を効率よく上げられることが論文で示されています。
「アルギニンより少ない量でアルギニンを血中に届けられる」という特性から、精力剤での配合はシトルリン主体が多くなってきています。
アルギニンの成分詳細はアルギニンの解説でまとめています。
シトルリンとの比較はシトルリンの解説で確認できます。
本記事の内容は医療的なアドバイスではありません。性機能に関するお悩みは泌尿器科・内分泌科へご相談ください。製品の効果には個人差があります。
「アルギニン」と書いてあるだけで、もう迷わなくていい
成分表の「L-アルギニン」と「アルギニン」の違いが気になってここまで読んでくれたなら——「どちらも同じ成分で、量と吸収効率が大事」という整理は、できた気がします。最初に感じた「これ何が違うんだろう」という違和感は、正しい疑問でした。
2022年の多施設RCTで使われた6g/日という数値、最初見たとき正直「そんなに多いの」と思いました。でもそれが「腸と肝臓での分解を超えて血管に届かせるため」という理由だと分かると、一般的な精力剤に入っている数百mgという量が、あの研究とは別の話だと見えてくる。(成分名が同じでも、量が違いすぎる、というのが一番引っかかったポイントでした)
製品を選ぶとき、「アルギニンが入っている」という表示をどう読むか——その目線が少し変わりませんでしたか?配合量と、なぜその量なのかを確認する習慣が、根拠のある選び方に近づくと思っています。